家を何年も空き家状態で放置していると、さまざまな弊害が起きるのをご存じでしょうか?
人が住まなくなった家は、ネズミや害虫が発生し、不法投棄される恐れも…。
そのまま放置していると、自治体から「特定空き家」に指定され、固定資産税が6倍もアップしたり、罰則を受ける場合も。
そうならないために、今回は「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家対策特別措置法)」について詳しくみていきましょう。
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弊社へのお問い合わせはこちら放置した空き家が指定される「特定空き家」とは?
特定空き家とは、住民が安心安全に暮らせるよう、倒壊の危険性や不衛生な空き家を減らし、持ち主が適切に管理するよう促すために定められた法律です。
平成30年住宅・土地統計調査(総務省)によると、空き家の総数は、この20年で1.5倍(576万戸→846万戸)も増加!
適切に管理されていない空き家が増えたことにより、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしています。
そのため近隣住民の生命や生活環境の保全、かつ空き家活用のため自治体が介入できるように制定されました。
「特定空き家」に指定され、自治体からの勧告や命令に対して、改善を怠ると段階的に罰則が課せられます。
さらに倒壊の恐れなど危険な状態においても改善の見込みがない場合は、行政代執行により解体などの措置がなされる場合もあるため、早めの対策が必要です。
放置した空き家が特定空き家に指定される基準とは?
空き家を放置し「特定空き家」に指定されることは、デメリットしかありません。
では特定空き家は、どのような基準で指定されるのでしょうか?
放置した空き家が特定空き家に指定される「基準」
「空き家対策特別措置法」2条2項より
●(イ)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
●(ロ)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●(ハ)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
●(ニ)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記のような空き家をテレビでご覧になったことはありませんか?
実際このような空き家問題で、お店を閉店なければならなくなったり、引越したりされた方もいらっしゃいます。
そうならないためにも、次の具体例を参考にご自身で所有される空き家が該当しないか、チェックしてみてくださいね。
倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
●建築物の破損、不同沈下による著しい傾斜
●基礎や土台のひび割れ、変形、破損などの損傷やずれ等
●柱・はり・筋かい・柱とはりの接合等の腐朽、破損、変形やずれ等
●屋根・外壁・看板・屋外階段・バルコニー・門または塀などの脱落、飛散等のおそれがある状態
●擁壁からの水のしみ出し、流出、水抜き穴の詰まりやひび割れなどの老朽化
著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●吹付け石綿等の飛散や暴露する可能性が高い状況
●浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出や臭気の発生
●排水等の流出による臭気の発生
●ごみの不法投棄による臭気の発生
●ごみ等の放置による、ねずみ、はえ、蚊等の発生
適切な管理が行われず景観を損なっている状態
●景観法に基づき都市計画に景観地区を定めている場合において、ルールに著しく適合しない
●屋根・外壁への汚物や落書き等で、外見上大きく傷んだり、汚れたりしている
●多数のガラスが割れたまま放置
●看板が原型を留めないほど、破損、汚損したまま放置
●立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂
●敷地内のごみの散乱や山積したまま放置
周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
●立木の腐朽、倒壊、枝折れにより近隣家屋や道路へはみ出したり、通行の妨げになっている
●動物の鳴き声や音による近隣住民の日常生活への支障
●動物のふん尿や汚物の放置による臭気の発生
●シロアリの大量発生による、近隣家屋への飛来
●門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れているなど、不特定の者が容易に侵入できる状態で放置
●雪止めの破損等による、落雪の発生
当てはまるものはありましたか?
もし該当する例がありましたら、近隣住民からのクレームや、行政指導が入る前に早急に改善しておきましょう。
放置した空き家が特定空き家に指定される「流れ」
どのような空き家が「特定空き家」に指定されるのか分かったところで、ここからは、措置の流れについて見てみましょう。
特定空き家に指定された場合の改善指導から勧告の流れ
特定空き家に該当する空き家が発覚すると、自治体から調査が入ります。
調査の上、上記基準に該当すると「特定空き家」として指定。
特定空き家に指定された所有者および管理者は、自治体より改善を求める助言や指導の連絡も。
そこで空き家の所有者および管理者が、改善に応じない場合は、一定期間を置いた後に、勧告します。
勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、更地状態と同等の最大6倍もの納税義務が課せられる場合も。
そこからさらに、空き家を放置し従わない場合は50万円の過料が科せられます。
それでもなお命令に応じないと、行政代執行をする旨の時期や見積り金額が通知され、執行日に強制的に措置が行われ、後日費用を徴収されるという流れです。
特定空き家に指定される放置空き家が増加している理由とは?
冒頭でもお伝えしたとおり、空き家は年々増加傾向にあり、問題が深刻化しています。
なぜ?これほどまでに空き家は増えてしまったのか、その理由についてみていきましょう。
特定空き家が増加している理由①:固定資産税対策
空き家を相続すると、所有者には固定資産税がかかります。
ところが土地に建物が立っているいるだけで、減税措置が受けられます。
土地面積200㎡までは6分の1に減税されるというものです。
つまり空き家を解体し更地にすると、特例の対象外になり固定資産税の負担額が6倍も跳ね上がってしまいます。
そのため手つかずの空き家が増えてしまうというのが現状です。
特定空き家が増加している理由②:少子高齢化
特に地方は顕著です。
平成30年住宅・土地統計調査 (総務省)によると、高知・鹿児島・和歌山県など西日本を中心に空き家率が10%を超えており、問題の深刻化が叫ばれています。
地方では、職種や学校の選択肢が少ないことから、就職・進学を機に若者は県外へ流出してしまうのです。
家族3世帯で同居などの昔ながらの光景は減り、親と子が別々の所帯をもつ時代。
相続が発生しても、仕事や家族の都合もあり、気軽に移住もできません。
管理や建て替えするにも費用が発生するため、放置されるケースが多いようです。
特定空き家が増加している理由③:日本人の新築信仰
「夢のマイホーム」というと、日本人のほとんどは新築物件を想像されるのではないでしょうか?
日本人は新築住宅に強い憧れがあり、住宅流通量においても、ほとんどが新築で、中古住宅の供給量はわずか。
アメリカでは2017年時点の住宅流通量において、中古物件が82%、新築物件はわずか18%と、中古物件が住宅流通の主流だそうです 。
その理由として、アメリカでは建物を建てる際の規制が厳しく、新築を建築するためのハードルが高すぎること。
さらにDIY文化が根付いていることから、中古物件への抵抗がないようです。
日本でも近年はDIYブームで、素人の方が安い田舎の中古住宅を購入し、プロ顔負けのリフォームしている番組などをよく見かけます。
それでもまだまだ空き家問題を解消するまでにいたっておらず、今後も急速にこの流れが変わることも難しいでしょう。
そのため特定空き家を減らすことに加え、リフォーム市場の拡大や空き家の活用・流通が今後の大きな課題となっています。
まとめ
特定空き家に認定され、放置してしまうと固定資産税は跳ね上がり、過料も科せられる上、撤去費も必要になる場合などデメリットしかありません。
もし現状で手つかずの空き家や、特定空き家に該当する空き家を相続された場合は、早めに不動産屋へ売却の相談をするといいでしょう。
あなたの空き家が、新たな空き家ビジネスにつながるかもしれません。
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