土地や建物を売却する相手が親兄弟や甥姪などの親族だった場合、買い手が顔見知りである安心感はありますが、細々した売買条件が曖昧なまま売却するとあとからトラブルを引き起こしかねません。
ここでは、親族間売買のメリット・デメリットから、一般的な売却との違い、売買でもっとも重要な適正価格の決め方を解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産の親族間売買とは?親族の範囲とメリット・デメリット
不動産売買における親族と捉えられる範囲とはどこまでか、また親族間売買で受けられるメリットや取引・税務上で気を付けたいデメリットを知っておきましょう。
土地・建物の親族間売買とは?個人間で売買する流れ
土地や建物を売却するには、不動産会社に仲介を依頼する方法、不動産会社に買取依頼する方法、個人で買い手を見つけて売却する3つの方法があります。
親族間売買とは、親兄弟などの親類との間で売買契約を結ぶ個人間の取引のことを指しますが、契約上の不備やトラブルを回避するために、不動産会社を間に挟むことも可能です。
民法725条による親族の範囲は、配偶者・ひ孫・甥姪・曽祖父母などの6等身以内の血族・配偶者の親兄弟・祖父母などの3等身以内の姻族と定められています。
しかし、税務署では相続税や贈与税から逃れるための取引ではないか厳しく確認することから、民法のような親族の範囲を定めていません。
親族間売買の流れは、物件の現状確認・価格決定・売買契約という風に、通常の仲介による売買よりも手順が少なくなるでしょう。
安心した取引と柔軟な条件交渉がメリット!
取引相手が見知った相手であることや親族であることは、お互いに騙される心配のない安心した取引ができます。
無謀な条件交渉をされない、内見の日程調整で希望を伝えやすいなど、見ず知らずの他人が相手の場合よりも取引しやすい点は親族間ならではのメリットです。
気心の知れた間柄であれば、代金の支払いを分割にしたり物件引き渡し日を引っ越しに合わせて調整したり、何かと都合も付けやすいでしょう。
また、相続対策としても利用できるので、相続の際に揉め事が起きたり手続きの手間を省いたりすることができるのもメリットに数えられます。
トラブルの確率が高くなってしまうデメリット!
親族間売買のデメリットでは、不動産売買の専門家がいないために起きる書類上の不備やトラブルなどから、税務署から贈与と疑われてしまう確率が高くなるなどがあります。
個人と個人との間で土地・建物を売買するとしても、きちんと契約書を作成しておかなければ、あとから要らぬトラブルを招いてしまうでしょう。
もっとも面倒なのは、そのつもりはなくても税務署に税金逃れのための取引ではないかと疑われてしまうことです。
買い手のためにと物件価格を下げすぎれば、税務署から贈与にあたると指摘されてしまう恐れがあるので、相場からかけ離れた価格での売買はトラブルになりかねません。
不動産を親族間売買した際の一般的な売買との違い
通常の不動産売買と親族間売買とでは、価格決定の基準、税金の特例や控除が受けられない、金融機関の審査が厳しくなるの3つの違いがあります。
相場よりも安い価格は税金逃れを疑われてしまう
個人間の不動産売買では、物件の価格をいくらに設定しようとも、お互いの了承さえあれば安くても高くても取引は可能です。
しかし、あまりにも相場とかけ離れた安さで売買すると、税務署はみなし贈与と判断して贈与税の支払いが求められる可能性が考えられます。
贈与とは、自分の財産を無償で相手に贈る行為のことを意味し、相手が受け取りを了承すると契約が成立します。
不動産の親族間売買は無償ではありませんが、相場では3,000万円の土地を1,000万円で売却すると、その差額分の2,000万円が贈与税の対象とみなされるのです。
相続税法第7条でも、著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合、取引成立時の物件の時価との差額を、贈与によって取得したものとみなすと明記されています。
譲渡所得税などの特例・控除が受けられない
一般に広く買い手を募集して売買する方法では、マイホームを売却した際の3,000万円の特別控除の特例や軽減税率の特例などを受けることができます。
買い手側も、住宅ローン控除や親などからの住宅取得資金の贈与を非課税にする特例の適用を受けるなどの節税が可能です。
しかし、親族間で不動産を売買するとこれらの特例や控除の適用を受けることができなくなるため、高額な税金の支払いをする必要に迫られます。
金融機関での融資審査が厳しくなってしまう
土地や家を購入する際に住宅ローンを利用するのは一般的ですが、金融機関は融資したお金を不正に利用されることを危惧して、親族間売買の場合には融資審査が厳しくなります。
融資されたお金の使い道が借金の返済であっても、取引をおこなっている売主と買主の双方が口裏を合わせれば、本来の目的を金融機関に隠すのは簡単です。
そういった不正使用の隠れ蓑となる取引ではないか入念に調べる必要があるため、一般的な取引に比べると審査にとおりにくい、または親族間売買での融資をしていない金融機関もあります。
これら3つの違いから、不動産会社が間に入って売買をおこなったほうが、さまざまなトラブルを回避できると言えるでしょう。
親族間売買で不正を疑われない不動産適正価格の決め方
適正価格で売買しないと税務署から要らぬ嫌疑をかけられてしまうので、次の3つのいずれかの方法で物件の適正価格を決めることをおすすめします。
国税庁のホームページで路線価を調べて基準にする
まずは公的に利用される相場を自分で調べて売買価格の基準とする方法では、国税庁のホームページから検索できる路線価があります。
路線価とは、相続税や贈与税を算出する際の基準となる価格の1つで、路線に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額のことです。
路線価×奥行価格補正率で1㎡あたりの価額が算出され、その金額に地積をかけることでその物件の適正価格を算出することができます。
国税庁のホームページで基準の路線価を調べることができますが、路線価図の見方や面する道路が2つになった場合の計算など、慣れていないと難しいでしょう。
不動産鑑定士がおこなう鑑定結果を基準にする
自分では調べず、専門家に頼るならば不動産鑑定士に物件の鑑定を依頼し、その鑑定結果を基準にして適正価格を決めることができます。
この方法ならば、面倒な計算や基準価格の下調べなどをすることがないので手間がかからず、正しい相場を知ることが可能です。
鑑定には取引事例比較法、収益還元法、原価法の3つの方法を組み合わせておこなわれ、もっとも信頼のおける結果であることに間違いありません。
ただし、鑑定結果が出るまでには3週間ほどの時間が空いてしまい、依頼費用は20〜30万円ほどかかるのが負担となるでしょう。
不動産会社の査定結果を基準にする
もう1つ、専門家でありながら土地・建物の売却価格を無料で調べられる方法に、不動産会社へ査定依頼を出す方法があります。
不動産会社に売却を前提とした査定の依頼をすると、査定は無料でおこなわれ、早ければ1週間程度で結果を手に入れることが可能です。
親族間という価格を甘く見積もってしまいやすい取引相手であれば、なおのこと専門性のある第三者を間に挟むことで、適切な売買がおこなえるでしょう。
書類の不備など、取引・税務上のトラブルを回避し、手間をかけずにスムーズな売買をおこなえるのは、不動産会社が仲介するからこそです。
まとめ
個人対個人で売買を成立させることは法的に問題はありませんが、何かあった際の適切な対応やトラブルを未然に防ぐなどの対策が難しいのが難点です。
スムーズな売買をするために、不動産会社に仲介を依頼して、面倒な書類作成から手続きまでを一任してみてはいかがでしょうか。
ネクストホープ不動産販売 メディア 担当ライター
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