マイホームを買い替える際、住宅ローンが残っている状態で買い換えることは少なくはありません。
その際に、どうしても損失が出てしまいがちです。
今回は、マイホーム買い替え時の譲渡損失の繰越控除について解説していきます。
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まず最初に、マイホーム購入によって生じた譲渡損失の繰越控除の特例についてご紹介します。
譲渡損失とは?
譲渡損失とは、不動産などの資産を売買した際に生じた損失のことです。
たとえば、購入価格が4.000円、ローンの利息が800万円、10年間で1.500万円返済したマイホームを2.500円で売却した場合、差額となる800万円を譲渡損失といいます。
このように、住宅ローンが残っているマイホームを売却した際、譲渡損失が生じる可能性が高いといえるでしょう。
マイホーム買い替えによる譲渡損失の繰越控除の特例
マイホーム買い替えによって、譲渡損失が出た場合は、当然所得税や住民税がかかりません。
しかも、損益通算といって、売却した年のその他の所得と相殺して所得税や住民税を減らすことができます。
さらに、売買した年の所得税よりも損益損失のほうが大きくて控除しきれない場合は、売却した年の翌年度から最長3年間の所得まで繰り返して控除することが可能です。
売却した年と合わせると、最長4年に渡って税金の控除がおこなわれることになります。
しかし、マイホーム買い替えによる譲渡損失の繰越控除の特例を受けるためにはさまざまな要件があるのです。
適用の要件については、後ほどご説明させていただきます。
譲渡損失の繰越控除の特例を受ける際の手続き
譲渡損失の繰越控除を受ける場合、確定申告が必要となります。
その際に、以下の手続きが必要です。
●損益通算の適用を受けた年分について、一定の書類の添付がある期限内申告書を提出したこと
●損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書を提出すること
●確定申告書に年末における住宅借入金等の残高証明書を添付すること
住宅ローン控除との併用は可能?
住宅関係の控除として控除率が大きいのが、住宅ローン控除です。
2022年に改正がおこなわれ、控除率が1.0%から0.7%になったものの、毎年の控除額は大きいといえます。
譲渡損失による繰越控除を受ける際、住宅ローン控除と併用できるのか、気になる方も多いと思いますが併用は可能です。
譲渡損失の繰越控除が適用される要件
マイホームの買い替えによって生じた損失があった場合、どのような要件を満たせば適用となるのでしょうか?
譲渡損失の繰越控除が適用される要件とは?
譲渡損失の繰越控除の適用要件には以下のものがあります。
●自分が住んでいた住宅であること
●所有した期間が譲渡した年の1月1日の時点で5年を超えていること
●日本国内にあること
●居住用の床面積が50㎡以上あること
●新たなマイホームを取得した年の12月31日までに入居するか入居見込みであること
●新居を取得した年の12月31日の時点でその住居用の返済期間10年以上のローンを借りていること
●譲渡した年の前年の1月1日から、譲渡した年の翌年12月31日までの3年間に新たなマイホームを取得すること
●繰越控除の適用を受ける各年分において、合計所得金額が3.000万円以下であること
また、住んでいたマイホームを取り壊した場合は、以下の3つの要件を満たす必要があります。
●取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること
●その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
●家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
居住用財座の定義
マイホームは税法上、居住用財産と呼ばれます。
譲渡損失の繰越控除を受けるための要件として、自分住んでいた家であることとしていますが、つまり居住用財産であるということです。
マイホームの買い替えによる譲渡損失の繰越控除を受ける際、売却したマイホームと新たなマイホームについて、居住用財産として定義することが重要となります。
居住用財産の定義は全部で4つありますが、そのうち必要な2つの定義を見ていきましょう。
●現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
●転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合
最初の定義は「自分が住んでいる家」という意味の定義となり、投資用のマンションなどは該当しません。
次の定義は元マイホームの場合の定義です。
元のマイホームは転居してから3年後の12月31日までに売却することで居住用財産として扱われます。
今回のマイホーム買い替えの譲渡損失の繰越控除では、こちらの2つが重要です。
買い替えなくても利用できる譲渡損失の繰越控除
譲渡損失の繰越控除の特例には買い替えなくても利用できるケースがあります。
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」となり、要件はマイホーム買い替えの際と同様です。
しかし、マイホーム買い替えの場合と異なるのは、以下の点となります。
●買い替えではなくても、賃貸住宅や実家に引越した場合
●売却したマイホームについて、売却の前日に返済期間10年以上の住宅ローンの残高があること
●マイホームの売却価格がその住宅ローン残高を下回っていること
譲渡損失の繰越控除が適用外となる条件
最後に、マイホーム買い替えによる譲渡損失の繰越控除が適用されない条件についてご紹介します。
譲渡損失の繰越控除が適用外となる条件とは?
譲渡損失の繰越控除は、以下の場合において適用外となります。
合計所得金額が3,000万円を超える場合
控除を受ける年の合計所得が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用外となります。
親族間などによる売買
マイホームを親族や内縁関係などの特別の関係がある方に対して売却した場合は、譲渡損失の繰越特例が適用されません。
この場合は、譲渡損失の繰越特例のほか、損益通算も適用外となります。
マイホームの売却で他の特例を適用している場合
マイホームを売却した年の前年および前々年に以下の特例を適用している場合は、譲渡損失の繰越特例が適用されません。
●居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例
●居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除
●特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
●特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
売却したマイホームの敷地面積が500㎡を超える場合
売却したマイホームの敷地面積が500㎡を超える場合は、500㎡を超える部分に対する譲渡損失の金額について適用されません。
償還期間10年以上の住宅ローンがない
繰越控除を適用する年の12月31日において、新居における償還期間10年以上の住宅ローンがない場合は譲渡損失の繰越特例が適用されません。
まとめ
今回は、マイホームの買い替えで生じた譲渡損失の繰越控除の特例について解説しました。
この特例を受けるためには、さまざまな要件を満たす必要があります。
そして、確定申告が必要となりますので、今回の内容を参考に申告してみてください。
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