不動産売却について調べていくと「減価償却」といった言葉が出てくるかと思います。
この減価償却は不動産売却における譲渡所得税と深く関わっているものであり、しっかりと確認することが重要です。
そこで、本記事では減価償却の概要や計算方法、注意点をご紹介します。
不動産売却をご検討中の方は、ぜひご確認ください。
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減価償却は不動産売却に重要なものであるのに、理解することがなかなか難しいものです。
まずは、減価償却とは何であるのかを確認し、なぜ重要であるのかを把握していきましょう。
減価償却とは
減価償却とは、年月の経過によって自然と価値が減少していく固定資産への会計処理法です。
固定資産とは長期保有する資産のことを指し、ここでは取得費が10万円以上の物を指します。
減価償却は一度に計上するのではなく、複数年にわけて計上します。
家屋などの固定資産は年月の経過によって外壁やフローリングなど劣化し、価値が下落していきます。
ですので、不動産も減価償却の考えが用いられることが一般的です。
なお、不動産の減価償却の対象となるのは建物部分のみになります。
土地は減価償却の「年月の経過によって自然と価値が減少していく固定資産」という定義を満たしておらず、経年劣化の対象とはなりません。
不動産売却の減価償却の対象は家屋のみになりますのでご注意ください。
不動産売却において減価償却はなぜ重要なのか
不動産売却後に譲渡所得(不動産売却によって得た所得)が出た際に、減価償却の計算が必要になります。
譲渡所得の大きさによって譲渡所得税がかかりますが、不動産売却前に納税額を知っておかなければ適切な資金計画の作成がおこなえません。
このような点で減価償却は不動産売却をする際に必要となるのです。
また、減価償却は不動産購入時の帳簿上における損益バランスでも重要になります。
たとえば、2,000万円の不動産を購入したときのことを考えてみましょう。
もし、減価償却の考えがないと購入年度において2,000万円の損失(支出)が生じてしまいますよね。
不動産の購入費は比較的大きな金額であるため、その年度の利益で打ち消すことはなかなか難しいです。
しかし、減価償却を用いると毎年100万円を20年に渡って計上することができ、帳簿上の損益バランスを保つことができます。
減価償却は「誰が必要なの?」といった疑問を持たれますが、不動産売却・購入に関わるすべての方に関係があることを覚えておきましょう。
不動産売却における減価償却費の計算方法
減価償却が必要であることは分かりましたが、実際に用いるときはどのように計算をしていけば良いのでしょうか。
具体的な計算方法についても確認し、不動産売却前に計算ができるようにしておきましょう。
減価償却費の計算方法
減価償却費は定額法と呼ばれる下記の計算式で求められます。
減価償却費=不動産取得費×0.9×償却率×経過年数
償却率とは各建築構造の法定耐用年数によって定められている割合であり、それぞれ以下のような割合となっています。
●木造:0.031
●木骨モルタル造:0.034
●鉄骨・鉄筋コンクリート造:0.015
●軽量鉄骨造(骨格材の肉厚が3mm以下):0.036
●軽量鉄骨造(骨格材の肉厚が3mm超え4mm以下):0.025
●軽量鉄骨造(骨格材の肉厚が4mm超え):0.020
また、経過年数において6か月以上の端数が出た場合は1年とし、6か月未満である場合は切り捨てをおこないます。
ここからわかるとおり、減価償却費は建物の構造によって異なってきます。
不動産取得費や建築構造を契約書などから確認し、適切な計算をおこなっていきましょう。
譲渡所得税の計算方法
減価償却費は譲渡所得税の計算に必要なものでした。
その譲渡所得税は以下の2式によって計算されます。
●譲渡所得=売却額-(不動産取得費ー減価償却費+売却活動費)
●譲渡所得税=譲渡所得×税率
まず、1つ目の式にある不動産取得費は購入費だけでなく不動産取得税や仲介手数料も含まれています。
また、売却活動費にも仲介手数料や印紙税などが含まれることにご注意ください。
2つ目の式にある税率は下記のように不動産の所有期間によって値が異なります。
●所有期間5年以下(短期譲渡所得):39.630%
●所有期間5年超え(長期譲渡所得):20.315%
まずは減価償却費を計算し、これら2つの式に用いていくことで譲渡所得税を求めていきましょう。
不動産売却における減価償却の注意点
ここまで減価償却の概要と計算方法について解説しましたが、いくつかの注意点を知っておくことも必要です。
注意点を確認し、減価償却の利用を適切に進めていきましょう。
注意点①概算取得費を用いると譲渡所得が膨らむ
譲渡所得の計算時に不動産取得費の項目がありましたが、売買契約書の紛失によって不動産取得費がわからない場合もありますよね。
そこで、不動産取得費がわからない場合は売却額の5%を取得費とするルールがあります。
たとえば、売却額が1,000万円であれば50万円、売却額が5,000万円であれば250万円となるのです。
ここで、譲渡所得と譲渡所得税の式から、譲渡所得税を抑えるためには不動産取得費を大きくしなければなりません。
しかし、概算取得費を用いると控除できる不動産取得費が少なくなり、譲渡所得税の課税額が大きくなってしまいます。
ただし、売買契約書を紛失した場合でも住宅ローンの契約書や振り込み履歴などから不動産取得費として認められことがあります。
また、登記簿謄本に記載されている抵当権設定金額でも不動産取得費として認められます。
契約書を紛失した場合は、別の方法で不動産取得費が認められないか、税務署や税理士に相談すると良いでしょう。
注意点②譲渡損失がある場合の源泉徴収税額の還付
譲渡損失とは売却価格から譲渡費用などを差し引き、その値が購入価格以下となっていることを指します。
つまり、譲渡損失とは購入額と売却額を比較したとき、損になっていることを指す言葉です。
ここで、不動産売却による譲渡損失は給与所得などと相殺することが可能となっており、4年間にわたって損失を所得から差し引くことができます。
源泉徴収税額の還付についても確認しておき、譲渡損失が生じた場合は適切に手続きを進めていきましょう。
注意点③減価償却の計算は「定額法」でおこなう
前述のとおり、減価償却は定額法によって求めます。
しかし、以前は定率法という計算方法も用いることができたため、インターネット上に定率法の計算式が記載されていることもあるものです。
1998年4月以降に購入した不動産は定額法のみ用いることができるため、定率法で計算をしてしまわないように注意しておきましょう。
注意点④中小企業・個人事業主は特例を用いることができる
中小企業や個人事業主が30万円未満の減価償却の対象となる固定資産を購入した際、最大300万円まで一度に必要経費とすることができる特例があります。
申請がおこなえる対象の方は、確定申告において青色申告書を提出している方であるため、青色申告書の対象である方は特例を積極的に用いていきましょう。
まとめ
本記事では減価償却の概要、計算方法、注意点について解説しました。
減価償却は不動産売却における譲渡所得税と深く関わりあっています。
不動産売却前に減価償却について理解しておき、売却を適切に進めていきましょう。
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